。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。




『俺、どうしたらいいか分かんなくて電話したんだけど…今、お前んちの近くに居て。


朔羅、顔色すっげぇ悪いし、どうしたらいい!?』


一ノ瀬の不安と焦りで、パニックを起こしそうな声を聞いて


こっちがパニックになりそうだった。





「バカかお前!!


救急車に決まってンだろ!!」






俺はここがファミレスだと言うことも忘れて本性全開で怒鳴り声を上げていた。


さっきまで賑やかだった周りの女子大生がビクリとして今度は違った視線で俺を注目する。


「戒さん、お嬢がどうされました」


俺の只ならぬ雰囲気に、向かい側の響輔が身を乗り出して聞いてきた。


「朔羅が―――……朔羅が倒れたらしい…」


俺は短く響輔に説明すると、響輔も息を飲んだ。


『救急車…分かった。すぐ呼ぶ!』


一ノ瀬が電話を切る気配があって


「待て!龍崎家に近いのなら御園の方が早い!


タクシー拾ってそこまで運べ!」


俺が言うと


『御園…?』


一ノ瀬がまたも動揺したように声のトーンを揺らし


ちっ!


何でお前が朔羅のところに居るんだよ!


俺だったらすぐに朔羅を抱えてタクシー捕まえて御園に行けるって言うのに!


それが歯がゆくて苛立つ。


「んなのタクシーの運転手に言やぁ分かるって!お前どんだけアホなんだよ!」


思わず一ノ瀬に当たって、前髪を乱暴に掻き揚げていると


「戒さん、お嬢の状況は」


と目の前の響輔がせっかちに聞いてくる。


『龍崎…』


「戒さん」


電話から聞こえてくる不安そうな一ノ瀬の声と、目の前の響輔の声が俺を同時に呼び


バンっ!!


俺はテーブルを力いっぱい叩いて






「うるっせぇ!!


響輔、お前は黙ってろ!!」






声を強めて響輔に怒鳴った。










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