。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
その様子を
じー……
あたしたち三人はタイガに視線を向けていると、さすがにタイガもちょっと居心地悪そうに
「ど…どしたの?」と不審そうに目をぱちぱち。
あたしたちが視線を向けていたのは、タイガの腕にあるタトゥーを確かめるため。
「い、いや!ワイシャツまで濡れてないかな~て心配になって。
高そうなシャツだし」
言い訳だったけど、確かに高そうなワイシャツだ。淡いブルーのシンプルなシャツだけど生地とか、ラインとか…
「気にしないで。あー…でもワイシャツまで濡れてるや。ちょっと着替えてくる」
タイガは苦笑いで踵を返すと、リビングの外へ向かった。
「響輔、朔羅。あとは頼んだぞ。
俺はタイガの気ぃ引き付けてるから。
ついでにタトゥーも調べてくる」
早口にそれだけ言って戒もタイガのあとを追う。あたしたちは顔を見合わせて
今のうち!と言わんばかりに出しっぱなしになっているノートパソコンを二人で覗いた。
時限爆弾用のウィルスを送り込むって言ったキョウスケの指が、
カタカタカタ…
キーボードの上を流れるように滑る。
早過ぎて見ててもまったく分からん。
ものの一分足らずで
「完了しました」とあっさり。
「え、もぉ!?」
思わず聞いたが、キョウスケは違うことが気になるらしくて
「未読のメールが何件かありますね。今日の日付になってる」と言ってメールボックスを開いた。
人のメールを盗み見するのは気が引けるが、でもキョウスケがメールを開くのを止めなかった。
タイガがスネークであれば何か痕跡を残してるかも…
ごくり、と喉を鳴らしてメールを凝視するものの
開かれたメールは
見たことのない文字の羅列で埋め尽くされていた。