。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
『元気?』
いつになく遠慮がちな小さな声で聞かれて、俺は目を細めた。
〝もしもし”も前置きもないのはお互い様だし、そうしろ、とは言わない。
けれど出だしに『元気』かどうか問われたのははじめてのことで一瞬戸惑った。
「誰が?」
まぁ俺のことじゃないことは確かだな。
『――――……あんたに決まってんじゃない。元気…?』
またもぶっきらぼうに聞かれて俺は今度こそ目をまばたいた。
まだ俺の近くをうろついていたタイガは俺の肩にのっそり顎を乗せて
「電話の相手、イっちゃん??組長、どうしたんですか、固まっちゃって」
と、面白そうに笑って俺の心臓の辺りに手を這わせてきた。
「何やってんだ」
忘れかけていた怒りが再沸騰しそうになって俺は本気でタイガを睨み上げたが
「心音、早まりましたよ?
何か思いがけないこと、言われました?」
タイガは面白そうに口の端を上げて意味深に笑った。