。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
だが、
そう呼ばれると、父親だと言われると―――どうしていいのか分からなくなる。
困惑する。
――――戸惑う。
何せ十九年間離れ離れだったのだ。
プップップップ…
タイミング良くキャッチが入った。
俺は一旦耳からスマホを離し、画面を確認すると
着信:衛
になっていて目をまばたいた。
今日会長は午後から御園医院で定期検査を受けていらっしゃる。
今朝会ったときは体調は良さそうだった。顔色も良かったし、いつものように冗談ばかり言っていた。
だが何が起こるのか分からないのが現状だ。
「悪いイチ、衛から連絡が入った。会長に何かあったのかもしれん。少し待ってくれ」
イチはまだ何か言いたげに
『ちょっ…!待っ!』
と何か言っていたが、俺は強引に保留にして衛の電話に繋いだ。
「はい」
そっけなく言って電話に出ると
『龍崎組のお嬢さんが倒れました。こちらに運ばれて今検査中です。
一応、君にもお知らせしておこうかと思って』
衛は俺以上に機械的な口調で淡々と告げた。