。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
ドクターはすぐに朔羅の寝ている特別病棟の病室へと案内してくれた。
「お嬢さんは酷い脱水症状を起こしていて今は点滴中です。
倒れたのは恐らく脳に十分な酸素が行きわたっていなかったことが原因ですね。
脳波など調べましたが脱水症状以外特に目立った異常は見当たりませんのでご安心を」
病室に向かう最中そう説明されて俺はそこでようやく安心できた。
病室の前のベンチには一ノ瀬が顔を項垂れさせて座っていた。
俺が案内されると一瞬だけ顔を上げものの、気まずそうに顔を伏せる。
俺はそんな一ノ瀬に声を掛けることもなく、とりあえず朔羅の確認をしたくて病室を開けた。
病室を入ってすぐ…淡いピンクのカーテンが引いてあってその手前で鴇田がパイプ椅子に腰掛け、腕と脚を組んでいた。
「遅かったな。お嬢は今お休み中だ」
相変わらず温度の感じられない淡々とした声音で、その声にはちっとも心配している様子がなかった。
鴇田がここに居るってことは、カーテンの向こうに
龍崎 琢磨が
居るってことか。