。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「なぁ日射病でそんな症状って出るもんなの?」
一ノ瀬が聞いてきて、
「いや…俺そこまで詳しくないし」
ゆるゆると首を振る。それが精一杯だった。
遠くの方で…受付のロビーの壁に掛かった大型の液晶テレビから音が聞こえてきて、
なんとなく俺たちはそっちの方を見た。
『誰も知らない。誰も気付かない。
私はもうこの世に居ない』
聞いた覚えのある声が聞こえてきて、俺は目を開いた。
それは何てことない、前にテレビで見た映画『双りぼっち』のCMだった。
CMなんて日に何本も流れるもんだし、今さら驚くこともないが
だけど何てタイミング。
イチ――――
「……あ、あの女……!
あの女に似てるよ、あのときの朔羅!!」
一ノ瀬が俺の腕を揺すって、
俺の手の中からコーヒーの缶がすり抜けて、床に転がった。
え―――――……