。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「何で俺が」
開口一番に言われて、まぁそうなるよな…と俺自身ちょっと考えた。
「私が何を言ってもイチは聞かないだろうからな。
お前の方が効果あると思って。
あいつきっと………拗ねてる」
〝拗ねてる”と言う言葉が適切なのかどうかは判断しかねたが、ほかに思い当たる言葉がなかった。
はぁ
キョウスケはため息を吐いた。
「そこまで一結のこと気にかけているのならご自分でどうぞ」
わざと丁寧に言われて今度は俺がため息。
「分からないのだよ。
イチとの接し方が。
長年離れ離れだったんだ。いきなり娘だと名乗り出てこられても
私には年頃の娘とどう接すればいいのか
分からない」
「簡単なことですよ。素直に話し合えばいい。
言いたいこと言って、すれ違ったのならちゃんと説明すればいい
そう思います」
キョウスケのもっともな意見に、だが俺はそれを素直に受け入れることはできなかった。
「それができりゃ苦労しねぇんだよ」
思わず素になってキョウスケを睨むと、今度はキョウスケが
「もっともな意見です」
と大真面目で頷いた。
その後キョウスケはちょっと考えるように首をひねり、やがて
「分かりました」
小さく頷き承諾してくれた。
「頼む……」
言いかけたときだった。
キョウスケが右手を差し出してくる。