。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
俺は組んでいた脚も解くと、ひざの上に肘を乗せて上体を屈めた。
口元に手をやり、だがこの行動は聞かれたくない話を隠すとかではなく、漏れそうになるため息を悟られないために。
「情報元は言えんが
スネークは
アルビノらしい」
俺の言葉にキョウスケは目を開いて息を飲んだ。
さっきの飄々とした態度は微塵も感じられなかった。
「それは本当ですか?」
「本当だ。だが情報源は勘弁してくれ」
俺が目を閉じて今度は深くため息を吐くと
「その情報源はタチバナですか?」
とキョウスケが俺の想像していなかった名前を突如ひっぱり出してきて、これには俺が少し驚いた。
「橘……?会長の悪友の?お前が何故知ってる」
俺が聞くと今度はキョウスケが肩をすくめた。
「誰からその名前を聞いたのか、俺の方も堪忍してください。
でも悪友ってことは彼をご存じなんですね」
「知ってるも何も、古い付き合いだ。高校時代あいつと会長が喧嘩に明け暮れていたせいで、
俺は何度高校の担任に呼び出しを食らったか」
思い出しただけでもため息が出る。
「それだけですか?」
キョウスケに聞かれ、
「それだけ…だが。それ以外に何が?できればあいつとは関わりたくないってのが本音だね。
あいつは疫病神だ」
俺が歯を剥き出して威嚇すると、
「ふぅん、それだけ…ですか」
キョウスケは含みのある言い方をして、今度は俺の方が腑に落ちない何かを抱えることになった。
どうやら有力な手札を持っているのは俺だけじゃなさそうだ。