。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
何故そんなことを聞くのか―――
そして何故大狼が盛岡出身だと知っているのか。
まぁあいつが言ったんだろうな。隠しているわけでもないし。そもそも隠す理由がない。
「いや、あいつは元はカタギだ。
極道じゃない」
俺の言葉に今度はキョウスケが目をまばたいた。
「じゃぁこっちに来てからその道に入ったってことですか。
大狼さんはいつ東京に?」
またも突っ込んだ質問をされて、何でそんなこと知りたがるのか益々気になった。
「あいつが小学生のときだよ。俺も同じ小学校だから覚えてる。
何でも盛岡の両親を早くに無くして親戚筋を頼って東京に来たのもいいが、その親代わりの保護者とトラブルがあったらしく、施設に入ってたらしい」
大狼は『トラブル』と言う言葉を使った。敢えて深く突っ込んで聞いてほしくなさそうだったからこちらとしても聞かなかった。
「でもありゃ―――虐待だな。
あいつが同じクラスの衛にくっついて家に遊びに来たとき、偶然痣だらけの腕を見ちまった」
俺の言葉にまたもキョウスケは目をまばたいた。
「まぁ、あいつもあの歳で未だ独身だが、却ってその方がいいのかもな。
ガキを作らない方がいい。
虐待は―――繰り返される
らしいからな」
言った瞬間、ちらり…
本当にちらりと一瞬
お嬢の姿が脳裏に過った。