。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「やっと元気になりましたね」
キョウスケがうっすら笑ってまたもあたしの頭をぽんぽん。
「さ、最初から元気だもん!」
思わず強がってみるとキョウスケはうっすら笑っただけで、その何でも見透かすような黒い瞳の前
何だかメール一つで元気になっちゃうあたしが酷く現金に思えて、急に恥ずかしくなった。
「な、なぁこれ!どうやってやるの??
見ていい??」
あたしは恥ずかしいのを隠すようにわざと大げさにタブレットを奪ってキョウスケに聞いた。
「いいですよ?使い方分かります?」
「ううん。知らね。現物をまじまじ見るのも触るのもはじめて」
あたしは新しいおもちゃを手にした子供のようにわくわく聞いた。
「インターネット?何か調べたいものでもありますか?使い方はこうです」
キョウスケはさくさく画面をタップしたり引き延ばしたり。手慣れてんな。
「いいな~タブレット。早いし見やすいし
てかスマホ欲しいけど、こないだケータイ変えたばっかだからまた何年か後になりそう」
「俺はガラケーの方が使いやすくて好きですけどね。二台持ちは面倒ですし。
けど機能が…スペックが……」
途中からマニアック過ぎてキョウスケの話についていけなくなったから、あたしはキョウスケを放置して一人タブレットに指を滑らせた。
何かを調べたいものがあったわけじゃなく、ただなんとなく―――
龍神社で見たあの白い女が履いていたパンプスがどこのパンプスだったのか
知りたくなった。