。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
最初はロイヤル一行の乱入に驚いたり鬱陶しかったりしたけど、
みんなでホットケーキを作るのは案外楽しかった。
野郎ばっかりでこのキッチンはどうかと思ったけれど、リコとお喋りしながらは楽しくて、何だか学校の調理実習みたいだ。
それに―――
千里に気になってたことを聞きたかったんだ。
幸いにも戒はキモ金髪に肩揉みされて、「あーでもない、こーでもない」と指導。
キョウスケはリコと二人で会話をしながらいちごのヘタをとっている。
卵を割るのにどんだけ真剣なんだよ、と言うほど危うい手付きで卵を手にしている千里に
「退院おめっとさん。もう痛くない?」
そう聞くと、千里は卵を割る手を止めて
「まだ松葉杖だけどな。恥ずかしぃ」とちょっと顔を赤らめてそっぽを向き、傍に置いてあった松葉杖を目配せ。
足はまだギプス固定されている。
「でも無事退院できて良かった。あのさ……あたし千里のお見舞あれから行ったんだよね」
「マジで?寝てたんだったら起してくれて構わなかったのに」
「いや、寝てなかった。
女の子に告白されてて―――…マズいところに居合わせたな~って思って…声掛けずに帰った」
こそっと言うと、千里は目に見えて顔を真っ赤にさせた。
割ろうとしていた卵は
ぐしゃっ!
変な風に割れて、ボウルの中で不恰好につぶれた。
「あ、あれはっ!!!」
「隠すことねぇって。良さそうな子じゃん。
付き合うの?」
あたしが何でもないように笑って聞くと、
「まだ分かんね。俺、あの子のことあんま知らねぇし」
と、赤くなった顔をあたしから逸らす。
「俺さ、そりゃきっと今でも朔羅が好きだろうけど…
でも
女の子に告られたのはじめてっつーか…
何て言うのかな、嬉しかったんだ」