。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
洗面台の鏡の中でキリさんと目があった。
「お姉さんみたい」なんて思わず言葉に出て慌てて口をつぐんだが、遅かった。
キリさんはちょっと驚いたように口元を引き締め、口元の色っぽいほくろもちょっと下がった。
あたし―――変なこと言っちゃったかな。
てかそもそもこんな暴君の妹、キリさんだって欲しくねぇよな。
厚かましいにもほどがあるぜ!
一瞬後悔したけど
でもすぐに
「そう?嬉しい」
と頬をほころばせるキリさん。
「…良かったわ。お母さんみたいとか言われたら…どうしようかと思ってたけど。まだそんな歳じゃないし…」
キリさんはあたしの想像とは違った意味の不安をブツブツ唱えていて
「ぷっ」
あたしは唐突に笑えてきた。
「なぁんだ、そんなこと」
「そんなことって、そりゃ若いあなただったら考えないことかもしれませんが」
キリさんがあたしの髪をとかしながら拗ねたように口を尖らせたけれど
でも何だか
「こうゆうやりとりも姉妹っぽいですわね」
すぐににっこり。
「はい!あたし、一人っ子だからお姉さん欲しかったんです。だから楽しいって言うか。
キリさんはきょうだいは??」
何気なく聞くと
「兄がいます」
丁寧に髪をとかしながら、今度は何故か柔らかく微笑んだ。