。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
キリさんの言った通り、
「お待たせ。もういいぞ~」
と病室のドアを開けると、目の前に腕を組んだキョウスケがドンと待ち構えていて、
びっくりした。
だけど
キョウスケの髪はぼさぼさ、シャツの前は開いていて乱れていた。
み、乱っっ!
な、何があったキョウスケっ…!!!
と違った意味で後ずさり。
「危なかった。もう少しで俺はドクターの人体実験のモルモットにされるところだった」
キョウスケはどんより。
キョウスケ、何かごめんな。
でもドクターがここに居ないってことは??
「隙を見て一発……こう一発ネ」
キョウスケは拳を振り上げ殴る素振り。つまり力づくで大人しくさせたってわけか。
「何かお前にはいっつも迷惑かけて悪りぃな」
「いえ」
最初の言葉はあたしに向けられたが
「そういうことで引き続き俺がお嬢の傍に居ますのであとはお任せください」
そっけなくキリさんを見ると、キョウスケがやや強引と思える動作で部屋に押し入ってきて、
くすくす
その冷たい態度にもキリさんは悪い気を抱かなかったのか小さく喉の奥で笑った。
「それじゃ朔羅さん。
また何かありましたら何なりと」
キリさんはそれだけ言って背を向けた。
「あ、ありがとうございます!」
もう一度お礼を言ってキリさんの後ろ姿を見送る。
コツッ…
きれいなピンヒールの音を響かせてキリさんが立ち去ろうとして
あたしは目を開いた。
キリさんが履いていたのは白いパンプスで―――
あたしたちが襲われたときに、女が履いていたパンプスと
同じものだった。
さっきキョウスケのタブレットであんなに検索したのに、あたしは見つけられなくて
でも何でこんなときに見つけちまうんだよ。
嘘だって
言ってよ。