。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
ベッドを滑るようしてケータイを手に取り、ベッドの向こう側へ降り立ったときだった。
バンっ!
突然扉を開く音がして
「何事だ!!」
白衣を着た男が一人―――拳銃を構えながら突入してきた。
こっちの台詞だ。お前こそ何もんだ。
医者に見えるが医者はハジキなんて持たない。
男はベッドから降り立った私を見つけると、すぐさま拳銃を構えなおしてトリガーに手を引く。
随分気の早い医者だな。いや、医者の振りしたアサシンか。
こいつも敵だ―――
「お嬢っ!!」
キョウスケの声が響く。
「やめろ。龍崎組のお嬢だぞ!撃つな!!」
キョウスケが侵入者に怒鳴ったが、拳銃は二発三発、容赦なく立て続けに発砲された。
どうやら『龍崎組のお嬢』でも、向こうには関係ないらしい。
けれど銃弾はベッドの影に隠れた私に当たることなく、ちらりとキョウスケなる男を見たがこっちも腹を押さえながら腰を折り、
銃弾を器用に避けながら何とかバスルームの扉を開いてその陰に隠れる。
「どうなってる、あの男は何者だ!お前の仲間か」
私がすぐ傍に―――バスルームの扉を盾替わりにしているキョウスケに問いかけると
「見たこともありません!それよりもお嬢…ここは一時休戦ってことで
あっちを早く片付けましょう!」
「同感だな」
拳銃は持っているが、キョウスケより白衣姿のあの男の方が数段弱いのが見てとれた。
接近戦に持ち込むのが得策だ。