。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
しばらく拳銃の音が鳴り響いていたが、やがてカチャカチャと言う重い機械音を鳴らし静かになった。
マガジンを入れ替えているに違いない。
私はベッドの影から立ち上がり、同時にキョウスケもバスルームの扉から飛び出した。
「「1・2の…」」
3 !
示し合わせたわけではないのに、私たちは二人同時にその白衣姿の男に飛びかかり
私が男に回し蹴りを食らわし、キョウスケが男から拳銃を奪った。
男はスピード勝負のこの攻撃に怯み、攻撃をしかけてくる暇もなかった。
男が小さくうめき声を上げたが、すかさず白衣の中に手を入れ、出てきたのはきらりと鈍い光を湛える
外科用メスだった。
「ちっ!」
まだ武器を隠し持ってたんか。
男がメスを私に向けてきて、私はケータイを床に放り投げると両手を挙げた。
同じように弾を装填されていない拳銃を持ったキョウスケもそろりと両手を挙げる。
反撃に出るには状況が悪い。
男は標的を私に絞ったのかまっすぐに
「死ねぇええ!」
メスを振りかざし、
「お嬢!」
キョウスケが手を広げて私の前に飛び出てきたが、一瞬だけその動きが遅かった。
どうやら私のパンチがまだ効いているようだ。
男のメスが私の腕をかすめ、白いシャツを裂き、赤い傷を作った。
「ちっ!」
そのまま男の腕を掴んで引き寄せると、手刀で当て身を食らわしメスを奪ってやった。
男の方も
「くそっ!!!」そう怒鳴り声を挙げ、
だが私が腹に一発膝蹴りを決め、さらにはよろける男に容赦なく顔に拳を埋めると男は静かになった。