。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「ちっ。手こずらせやがって。
この男何もんだ?」
私は倒れたキョウスケの脇腹をつま先でつつき、ついでにごろりと横向けにさせた。
キョウスケのもとにしゃがみ込み、ジーンズの尻ポケットから財布を取り出す。
財布には免許証や学生証が入っていて
「鷹雄 響輔――――……」
鷹雄―――……?って‟あの”鷹雄か……?
なら説明もつくな。
「だがしかし、白虎のガキが何故ここに―――?」
だが考えても明確な答えなんて出てこなくて、結局諦めた。
考えても時間の無駄だ。
今はここを脱出するのが先決。
幸いにもここは病院だ。
散乱した医療機器の中に包帯やら消毒液やらを見つけて、私はそれらを手にとった。
着ていたシャツだけを脱ぎ、キャミソール一枚になると傷ついた腕に包帯を巻く。
それだけでも結構な時間を要したように思えて、イライラと口の端で包帯を切った。
応急処置だから、包帯からすぐに血がにじみ出てきたが、我慢できないほどでもない。
病院で良かった、と思いたいが―――病院じゃなきゃメスで傷つけられることもなかった。
何で私は病院なんかに居るんだ。
またも疑問が浮かび上がり、しかし考えてもその疑問は解消されることはなかった。