。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「てかオシャレしてんじゃん?もしかしてデートだった?」
響輔以外の男と。
あいつは朔羅に付き切りだ。
俺が冗談を飛ばして笑うと
「違うよ。お母さんが銀座に連れて行ってくれて、一緒に買い物してたの」
「へぇ銀座ぁ。お前ってセレブ?」
「そんなわけないでしょ?あたしは付き添い。
ケーキ食べさせてくれるって話だったから、ついていったのに……食べる前に龍崎くんに呼び出されて食いっぱぐれたよ」
川上はさも迷惑だ、と言わんばかりに唇を尖らせる。
それでも―――
来てくれた。
「悪りぃな。ケーキだったら俺が食わせてやるよ。
何ならパフェでもいいぞ?」
俺が川上の睨みにも動じずにこにこ言い、さらにはまたいつもの冗談で肩を抱こうとすると
川上はサッと俺の腕から逃げて俺を睨んできた。
「あたしとケーキ食べたいがために呼び出したわけじゃないでしょう?
目的は何なの…」
警戒するような視線だ。
俺が川上を呼び出すのなんてはじめてのことで、警戒されてるのは分かる。
でもそれと同じぐらい俺の要件が気になる―――って感じだな。
俺はため息を吐いた。
「ちょっと調べものに付き合ってほしいんだけど」
俺が言いにくそうに切り出し、でもそれ以上の説明を省いて図書館の中へ入ろうとすると
「ねぇ」
呼びかけられて俺は止まった。
無言で僅かに振り返ると
「こないだはごめん」
川上の揺れる声に合わせて僅かに、伸ばしかけの髪やスカートの裾が風で揺れた。