。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
私は大狼の首元から完全にネクタイを解くと
大狼の目の前で
ピン!とそれを張った。
「…う……さぎちゃん…?」
ようやく自分が何をされるのか気づいたようで、大狼は逃げ腰で私を見上げてくる。
「残念だったな。ベッドの中じゃなくて。
男をイカせるの得意なんだがな」
地獄にな―――
私はにやりと笑って、ネクタイを大狼の首に巻き付けようとした。
拳銃で狙えないのなら絞殺にしてやるよ。
だが男はさっきのフザケタ様子から一転、体をバネのようにして素早く飛び上がると
私の手首を掴み、ネクタイの端を引っ張った。
速い!
この男はどこにこんな体力を隠し持っていたのか、その俊敏さに一瞬目をとられた。
「残念だよ。
私も得意なんだ。
好きな人をイカせるのは。
どっちが早いか競争しようじゃないか」
大狼はさっきまでのふざけた口調からがらりと変え、低く私の耳元でささやくと、素早い動作で私の手首にネクタイを巻き付けた。