。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



それでも


唇と唇が触れ合いそうなその微妙な距離まで近づいたその瞬間。


大狼はそっと顔を離した。





「違う……」





一言いうと起き上がって、その場で胡坐をかくと頭の後ろを掻いた。


「何が、だ」


私が聞くと


「違うんだよねぇ!もっとこう嫌がってくれないと!!」


はぁ…?


大狼はさっきのフザケタ表情に戻り、手をわなわなと震わせている。


「僕は、僕のことをゴキブリみたいな目で見て嫌がってるうさぎちゃんを見るのが好きなんだ!!」


こいつ……






変態か。






ようやく気付いた。


「随分魅力的なシチュエーションだけどね。何か違う!!」


でもその変態っぷりはどこか嘘っぽく感じて


「何故?」


私は横たわったまま問いかけた。






「さぁ。



でも敢えて言うなら今の君は、



君であってそうじゃない―――




私は本当の君の―――心が欲しいんだよ」





大狼はまたも真面目に言ってやんわり笑うと私を抱き起す。


ゆっくりとネクタイを解き、少しだけ悲しそうに笑う大狼。


本当の私―――







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