。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「ドクタートキタ。
私のことを知っているのか?
お前か、私を呼んでいるのは―――」
私が聞くとドクターはゆっくりと目を細め
「いえ、お呼びしてはいません。でもあなたのことよぉく知ってますよ。
あなたは突飛なことをやらかす人ではありますが
突然拳銃を向けられたのははじめてです」
ドクターはメガネを直してほんの少し苦笑を浮かべる。なおも両手を挙げたまま。
「ついでに私のことをいつものあなたは“変態ドクター”と。
名前で呼ばれたのもはじめてのことです。フフッ」
と、どこか緊張感のない場違いな返事を返してきて私はさらに目を細めた。
「黙れ。
黄龍はどこに居る。
ここに居ると、大狼から聞いた」
私が拳銃をさらに突きつけると
「恵一から…?彼はまだこの病院をうろついていたのですか…」
と、ちょっと呆れたようにがくりと項垂れる。
「あいつの知人か?」
「ええ。友人ですが、ただ今喧嘩中でして…絶交してるんです」
絶交とか…ガキか、お前らは。
まぁ今は喧嘩してるかどうかなんて情報、私に必要ない。
でも知っているならば話は早い。
「拳銃を奪おうとかバカなことは考えるなよ?ドクター、黄龍はどこに居る」
もう一度聞くとドクターは僅かに振り返って背後のカーテンを目配せ。
「そこに……ああ、でも今は検査中なので…」
最後まで言葉を聞かずして、私はドクターに拳銃を向けたままドクターの背後に回り込んだ。