。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「本当に…………」
戒の気持ちを疑うつもりはないけれど、じゃぁさっき何であんな顔したのか気になって
「ホントのホント。
なんなら仲直りのチューでもしとくか?俺、激しいの希望♪」
戒が自分の唇を指さし、ニヤリ意味深にエロく笑う。
あたしは思わず
「こんなところでするか!!」
ボフッ
戒の顔にまくらを投げつけてやった。
「痛ってぇ!」
戒は喚いたけど、でもどことなく……ほっとしたような笑顔が浮かんでいて
戒もあたしと仲直りしたい―――って思っててくれたんかな…
能天気なあたしはそんなことを考えていた。
その後、戒はナースコール…もといドクターコールでドクター鴇田を呼んでくれて、朝の診察が終わると朝食が出された。
これまた豪華な旅館の朝食を思わせるような朝食に
昨日あんなに味を感じられなかった病院食は、戒が居てくれたおかげで全部おいしく食べられる。
「でもさぁ、昨日の夜はキョウスケがついててくれたはずだけど…
あいつどうしたの」
「ああ、あいつ仮眠とらせるために俺とタッチ交代。
寝不足のまま変なテンションになってみ?寝込みのお前襲う可能性大だろ」
戒はあたしの朝食のだし巻き卵を手づかみで口に放り込みもぐもぐさせながら答えた。
「おめぇじゃあるまいし。てかそれあたしの卵焼きっ」
「まぁまぁの味だな。お前が作った方がうまいし」
人の卵焼きを食っておきながら文句垂れる戒。
「こんなんじゃ腹のたしにもなんねぇよな。あとでマクドでも行こうぜ」
「〝マック”」
しつこいようだがあたしが言いなおしていると
カラッ
病室の引き戸が開いた。
またドクターが検温しにきたのか、と思ったが…(しつこいぐらい検温だ、血液検査だ、内診だと姿を現すドクター。ま、あたしが龍崎組のお嬢だから大事があっちゃあいつのクビが危ないってところだな)
入ってきたのはドクターじゃなくて
額に包帯を巻いた
キョウスケだった。