。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「俺の妹も好きなんです、母の作るグラタン。
母親は作るのが面倒だとか言いますけど、妹が失恋したり友達と喧嘩したときに作って励ましてました。
母の愛ってやつですかね」
妹―――さん……?
そっか、妹が居るって言ってた。
なんかちょっとほっとして、さっきまでの緊張がちょっと緩まった。
「サンマの塩焼きって、響輔さん渋いですね♪
たこ焼きとかお好み焼きとか答えるかと思ったけど(実家が大阪だから)」
「たこ焼きもお好みも好きですよ?大阪やし。
でも
一番はサンマの塩焼きかな。レモンしぼって大根降ろしがあったら最高ですね」
心なしか、響輔さんも少しだけ楽しそうであたしはそれが嬉しかった。
「ビールも一緒に?」
「最高ですね」
響輔さんは白い歯を見せて、声を上げて笑った。
ドキッ
やばいよ…その笑顔
……卑怯だよ。
そんな笑顔されたら、もっと近づきたくなる。
もっと距離を縮めたく―――なる。
あたしは開けていた距離を少しだけ縮めて響輔さんのすぐ隣に歩いた。
「あ…あたしが作ったら食べてくれますか?」
響輔さんは最初の方不思議そうに首を傾げていたけれど。
「リコさんが焼いてくれたら、是非。食わせてください」
こ、好感触だぁ!