。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「分かってる。分かってんよ…
このままじゃ俺…迂闊に朔羅に触れられへん……それがどないなことなんか―――
想像しなかった思うか?」
―――朔羅に触れられない。
あいつが悲しいとき、俺はあいつを無条件で抱きしめることができない。
俺は響輔を見据えて言い切ると、響輔はほんの少し眉を下げて悲しそうに…とても悲しそうに笑ってゆっくりと俯いた。
俺よりも―――何だか響輔の方が今にも泣きそうな雰囲気だ。
「別れを―――……?」
響輔が俯いたまま小さな小さな…ほんまに消えてしまうんやないか…てぐらいの小声で言うてきて俺は目をまばたいた。
まばたきをするたびに何かが目がしらからこぼれそうで、俺は必死にその〝何か”を飲み込んだ。
「考えてる」
俺の声も小さく小さく…消え入りそうになっていた。
俺と響輔二人の影が白いリノリウムの床に落ちていて、その距離は一定間隔をずっと保っていた。
けれどそれはほんの数秒間で
響輔が俺の方へ走ってくると、今度は俺をぎゅっと抱きしめてきた―――
覚えのある柔軟剤と…ほんの少しタバコの匂い。
「考えましょう。
二人でお嬢を救う方法を。
俺―――戒さんのそないな顔
見たない。
戒さんとお嬢には笑っててもらいたい。
我儘ですんまへん。
だから別れるのはもう少し――――考え直してください」
響輔―――……
.。・*・。..*・ To be continued ・*..。・*・。.