。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
腹が減ったら何かを食べるし、眠くなったら眠る。
しかし私は必要がなければ食事を二三日平気で抜くこともあったし、〝仕事”のときは同じく二三日眠らない日も続く。
イチも職業柄そうだろう。
けれどそれで体がおかしくなることはない。それがもう長年の習慣でしみついているからだ。
私は―――人間が持つ当たり前の感情が欠落していたのだ。
同じくイチも欠落しているのか―――と言ったらきっとそうではないけれど―――
いや彼女には実際欠落していた部分もあったけれど最近得た。
そして
私も今日――その欠落していた何かを得た―――
そんな気がした。
手を握る。
「バカな……」
もう一度呟いて目を伏せる。
似た者同士だから惹かれたんだ―――
本当にバカだよ、私は―――
日本一の殺し屋が―――たった一人の小娘に……それも自分の年齢の半分の歳の娘に
恋をした――――……?
バカな
ありえない。