。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
一か月ほど前―――このメールですべてが始まった。
――――時の流れは短いようで長い。
このメールを受け取ったのが一か月前だと気づいたとき、随分時間が経っているように思えたがその実30日ほどしか経っていなかった。
私はその日まさに〝一仕事”終え、都内のホテルで休んでいた。
夜中だった。
PiPi
眠っていた私は小さな機械音―――言うまでもなくPCからのメールの報せの音を聞き、例のごとく開けっぱなしにしていたノートPCに起こされた。
ごそっ
衣擦れの音がやけに大きく室内に響く。
「―――……誰だ…」
隠しきれない寝起きの不機嫌を浮かべて起き上がろうとすると、
私の腕に僅かな重みがあって、そこに目をやると裸の女が私の腕に手を絡ませてすやすやと心地よさそうに眠っていた。
むき出しの白い肩が呼吸のたび上下する。
言うまでもなく私も裸だ。
イイ女だった。仕事の最中に知り合った。
そのとき私は「弁護士」と言う職業に化けていた。私にはどんな職業にもなれるよう知識が頭に叩き込まれている。
だからこの時の「弁護士」と言う肩書も演じるのは苦じゃなかった。
必要とあらばピアニストにだってなれるし、ケーキ職人にもなれる。