。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
女は私のあれこれを疑わず…いや職業なんて気にしていなようにも見えたが、とにかく
意気投合した。
と言うか、私にとって彼女は利用できる駒であり、ターゲットは彼女の上司の―――某政治家の代議士先生。
何の話で盛り上がったのかは覚えていないが、とにかく会話が楽しかったのは覚えている。
元々この女を利用するつもりで近づいたわけだから、楽しい思いをしたのはラッキーだった。
さすが代議士の秘書ともなると頭の良い女だ。おまけに美人でスタイルもいい。
もちろん、代議士先生と不倫の仲にあると言うお決まりのおまけつき。
『タヌキじじぃの愛人なんてもうイヤなの』と彼女は私の隣でウォッカを傾けながら忌々しそうに呟いていた。
彼女にとっても私はつまみ食い程度だったのだろう。だけど私の方は違う。
私は彼女の気を引き、その間―――代議士先生を仕留めた。
もちろん彼女に知られないうちにひっそりとね。
読者諸君、どう仕留めたのか気になる方もいらっしゃるだろうが…生憎それだけは企業秘密です♪じゃないと商売あがったりですからね。
―――今ごろ代議士先生の遺体が発見されて大騒ぎになっていることだろう。
私は通常なら、クリーナーとしての任務をまっとうするが、今回はそうしなかった。代議員先生の姿が、さっぱりなくなったら大騒ぎだからね。
そうなれば、失踪届など出されて、更に面倒なことになるのが容易に想像できる。
『消えた』のではなく『消された』方が、このときの私には都合が良かった。
何事にも合理的ではないと。それが私のポリシーだ。
そんなことも露知らず、殺した男の腕に抱かれて眠る女―――
それを考えると
急に彼女が、浅はかでバカで、つまらない女に見えた。