。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
私の中で芽生えたその小さな想いはこの数時間でどんどん膨れ上がり、私の心を重くする。
まるで鉛を打ち込まれたように―――心が痛い。
イチがまるで太陽のような明るい笑顔で笑ったり、空をも曇らすほど迫力ある顔で怒ったり、
雨のような涙を流したり―――
私の頭の中を色んな顔をしたイチが通り過ぎて言って
またもズキリと心が痛む。
彼女が好きなのは―――彼女の王子さまは
鷹雄 響輔なのだから。
私のために笑ったり泣いたりしてくれていたわけではない。
その表情が全部全部響輔に向けられたものだと知ると―――
そのことを再確認すると、私はさっき腕の中で眠る響輔の首を―――
本気で絞めたくなった。
けれどそうしなかったのは
イチの悲しむ顔が見たくなかったから―――に他ならない。
これが俗にいう嫉妬と言うものだ―――とはじめて知った。
私は思っていた。
嫉妬とはなんと醜く愚かな感情か―――
その醜悪な感情こそこの世でもっとも忌むべき感情だと思っていたが
イチが朔羅に抱く――――……そう……あれもある種の嫉妬だ。
その気持ちを利用して青龍会を根絶やしにさせる依頼を請け負ったのはこの私だ―――
何故だか私は矛盾ばかりしている。
イチに出会って―――
イチと距離を縮めて―――私は矛盾ばかり。