。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



こんなこと間違ってる。


ダメだよ、理子。


心の中でそう言い聞かせるも、あたしの手は意思とは反対に“通話”ボタンを押していた。


ドキン、ドキン…


心臓が早鐘を打って、その音を聞きながらあたしはケータイを耳に当てた。





『……響輔…?―――…あたし、一結だけど……』




一結と名乗ったのはやっぱり女の人の声で、独特の色っぽい声だった。


映画の広告をたった一度しか観たことがないあたしは、その声がyouの声かどうか判別つかなかった。


『響輔……こないだはごめんなさい……でもあたし…二重スパイってことはないの…


本当は、連絡するのもちょっと考えたけど…でも、ちゃんと分かってもらいたくて』


電話の向こうの相手はあたしを響輔さんだと勘違いしてるのか一方的に喋っている。


こないだ…?ごめんなさい……?





『あたし……あんたのことだけは裏切りたくない。


あんたのこと、本気だから―――……』





本気―――…


好き




ってこと?







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