。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
ドキン…ドキン!!
心臓がより一層大きな音を立てて今にも破裂しそうだ。
『…響輔…?聞いてるの?あんたは怒らないと思ったケド、やっぱり…腹立ててるの?』
電話の相手が何も答えない通話相手をいぶかしむ様な声音で聞いてきた。
通話を切ろうとしたときだった。
いつの間にか起きだしていた響輔さんが、あたしの手からそっとケータイを抜き取った。
ドキリ
びっくりして目をまばたいていると、
抜き取ったケータイを耳に当て、
「…あ、俺。ごめん、ちょお今手ぇ離せんのや。
また掛けなおすさかい。
―――は?ちゃうて、ほんまに手ぇ離せんだけやから、ほな」
親しみのある関西弁で喋って響輔さんはケータイを閉じた。
前にもあった…
そうだ…あれは―――花火大会の帰り道。
あのときもこうやって電話が掛かってきて、響輔さんは関西弁で受け答えしてた。
あたしには絶対見せない態度。
あたしが聞いたこともない口調。
すぐ近くに響輔さんの顔があるのに
きっとこの瞬間響輔さんと誰よりも距離を詰めてるって言うのに、
響輔さんの存在は凄く
―――遠いよ。