【完】終わらないラブストーリー
僕は答えられなかった。
だって遠くに引っ越してしまうんだから…。
「おにいちゃん?」
「…」
「かなしそうなかおしないで。おにいちゃんとってもかっこいいからわらってほしいな!」
「…うん」
僕がにこっと笑うとその子もにこっと笑ってくれた。
変な話、
この時の僕は寂しかったんだと思う。
パパは仕事仕事、
ママは僕よりも弟の世話ばかり。
挙句の果てに転校。
追い打ちばかりだった僕に
君は太陽みたいな笑顔をくれた。
「君の名前は?」
「まりあです!5歳です!」
「まりあ…ちゃん」
「あ!おかあさんがむかえにきちゃう!またねおにいちゃん!」
走り去るまりあちゃんの後ろ姿を僕はじっと見つめた。
もしも…
もしもまた僕が君に出会えたら…。