【完】終わらないラブストーリー
信じたくなかった。
でもね、
たとえ茉莉亜が藤井君のことを好きじゃなくても、藤井君が茉莉亜を好きな場合だってあるってこと忘れて暴走してたのはあたし。
最近藤井君もあたしとよく喋って笑ってくれるし、もしかしたらあたしのこと…なんて夢見てたの。
いてもたってもいられなくなって、
あたしは藤井君の浴衣の袖を引っ張って人ごみの中をかきわけた。
「仲村?」
藤井君の声に気づいているのにあたしは聞こえないふり。
とにかく今はあの二人から離れないと。これしか頭になかった。
人気のない河原に続く階段に私は座り込んだ。
藤井君も無言であたしの隣に座った。
ただただあたしたちは黙って座っていた。
後ろで屋台を楽しむ人たちの声が聞こえてくる。
藤井君も何かを話しだすわけでもなく、あたしも何かを話しだせない。
そんな時間がとても長く感じた。