【完】終わらないラブストーリー
なんとか気を持ち直した私。
でも演技をする気分じゃなくて…。
だから美紀に無理を承知で大道具手伝わせてほしいって頼んだ。
「いいよいいよ!じゃあ今日は役者全員大道具とか手伝っちゃおっか♪」
「本当にいいの?」
「うん!どっちかっていうとね、役者より大道具の人手が足りないくらいなんだよね。それに、結構気紛れるんだよ♪」
「ありがとう…!」
それから私は祐樹たちと一緒になってペンキを塗っていた。
「これペンキ足りないよね?」
「足りねぇな…。でも仲村がペンキ買い置きしてるって言ってたけど」
「えっ祐樹は場所知ってるの?」
「いや、それは知らない」
私と祐樹は服の採寸をしている美紀にペンキの置き場所を聞き、言われた場所まで一緒に取りに行くことにした。
「体育館の近くの倉庫だよな…」
「って言ってたね」
二人で階段を下り、廊下を曲がろうとした時…
私は祐樹の腕をつかみ立ち止まった。
「ど、どした藤本?」
「…ちょっと待って」
私が聞き間違えるはずがない。
曲がり角の先に先生がいる。
「ねぇ…キヨ先生♪」
…女の人の声?
「ちょっと…生徒が見てるんで離れてもらってもいいっすか?」
私は祐樹を押しのけそっと廊下を覗き込んだ。