【完】終わらないラブストーリー
そんな私の心を見透かしたかのように
先生はこんなことを言い始めた。
「過去を塗り替えることはできない。でも未来を変えることはできる」
「え…?」
「お前が笑顔でいれば、誰かが幸せになれることを忘れるな」
先生は
私のほしい言葉をくれた。
木下君との過去を気にしていても私がどんどん沈んでいくだけ。
でも私が未来を見て歩き出せば
きっとどこかで何かが報われる。
そして
出会った時と同じように私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
笑顔で。
───その瞬間。
とうとう心の奥に眠っていた気持ちが動き出した。
高鳴る鼓動。
先生の笑顔が太陽に見える。
大きな手のひらの感触。
心地よい体温。
「…何、これ」
「まりあちゃん?どした?」
息が苦しくなった。
木下君の時とは違う苦しさ。
甘酸っぱい感情が私の体を支配する。
「茉莉亜…?どうしたの?」
美紀も心配そうに私を覗き込む。
私はうつむき、顔を隠した。
私は───。
私は先生のことが───。