や、うん。ちょっと近くないですか。【短編】四
「咲月くんの声って…
なんか、、色っぽいよね?」
ガタガタッと盛大に椅子を引く音が響き
部屋にいる数人と目が合う
そして
咲月くんを見てみると
…リンゴだ。
手の甲を口に当て
あわあわと
明らかにうろたえているのが分かる
これでお互い様だろう。
慌てて声も出せない咲月くんを見ながら
いたずらを成功させたように笑ってみせ
唇に人差し指を持っていく
ドックドックと
心臓が波打って
ポカポカと
体温が上がっているのを感じながら思う
だって、
近くないですか。とか
恥ずかしすぎてそれこそ言えたもんじゃないでしょう?
END.