君の血と僕
「座れる?」

「うん。」

「ご飯ちゃんと食べてなかったの?」

「うん。なんか食欲なくて。

 一人だと余計、食べなくてもいいかな。

 って思っちゃって。」

「だめだよ、そんなの。」

「ごめん。」

「はい、あーんして。」

「はずかしいよ。」

「いいから。今日は病人なんだから。」

彼女と一緒にいる時間が、なんて幸せなんだろう。

「ねえ、よかったら一緒に住まない?」

「え?」

「あ、ごめん。急に。」

そんなことを言う前に、

ちゃんと大切なことを言わなきゃ。

「いいよ。元気になるまでなら。」

「本当に?」

僕は嬉しかった。

けど怖かった。

一緒にいたい。

ちゃんと言わなきゃ。

バンパイアの血をこんなにいやだと思うことは、

はっきり言ってそんなになかった。

適当に女の子を捕まえて、

じゃれながら少し噛んで、

血をちょうだいして、

難なく生きてきたのだ。

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