君の血と僕
なんでもいいから共通の話題がほしかった。

彼女が本屋さんで働いているので、とにかく本を読んだ。

といっても、買ってばかりではお金がかかる。

時々図書館にも行った。

新作や人気の出ている書籍はすべてチェックした。

彼女に一目ぼれをして本を読みだしたが、

僕は本の世界も好きになった。

なかでも好きになった作家がいた。

豊岡悦詩という恋愛からサスペンスまで、

幅広い作品を世に送り出す人だった。

話のテンポ、言葉の使い方。

そのどれもが心地いい。

新作が来週出ることを新聞の広告で知った僕は、

さっそく彼女のいる日の、

彼女がレジの日を狙って話しかけた。

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