君の血と僕
映画を見た後、喫茶店に入った。

そこで僕は言った。

「もうバレてしまっている気がするんですけど。

 僕はあなたが好きです。

 よかったら付き合ってもらいたいです。」

「はい。」

・・・。

彼女は相槌をしたようにあっさり、はい。といった。

「え、いいんですか?」

「私、あなたの名前を知った時から、

 なんかすごい奇跡にあった気がして。」

彼女はいつもファンタジーな話を好んで読んでいた。

バンパイアが出てきたときは本当にドキっとした。

僕の名前は素敵だと、なんていい名前なんだと、

彼女は何度も言った。

「それに、あなたの目は、

 一度会ったら忘れられないんです。

 強くて、まっすぐで。

 一見怖かったんです。

 でも、あなたの笑顔を見て、

 絶対優しい人だって思いました。」

「そんな、はずかしいし。」

「目のとこが笑うとくしゃってなりますよね。

 かわいいです。」

「かわいいって・・。」

「かわいいんです。」

「ありがとう。」

僕に彼女ができた。

僕はでも苦しい。

言わなくては。

言わなくては。

君の血を

少しもらえないかな。

君以外の血を

飲みたくない。

僕は彼女に出会ってから、

血を一滴も飲んでいない。

あまりにも飲んでいないため、

最近調子が悪い日もある。

でも、言えない。

せっかく両想いになれたのに。
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