青龍と桜Ⅱ




傘をさした一人の女が、雨に濡れる桜の木をうっとりと見上げていた。


「また、あなたの季節がきたよ」


桜色のパーカーを着た彼女の言葉に応えるように、桜の蕾が雨にも負けず、ふっくらと膨らむ。

「もうすぐ、だね」


膨らんだ蕾を見て、彼女は嬉しそうに語りかける。


ゆらゆらと静かな雨が桜を揺らす。


彼女は目の前の桜に、時間を忘れて見入っていた。




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