桜縁
それまで書いていた筆が止まる。
そうなのだ。今回の計画は会津や京だけでなく、それを守ろうとする新撰組ともやり合うことになる。
そうなれば、沖田とも敵となるということだ。
裏切られたとはいえ、沖田は蛍の初恋の相手だ。そうそうに開き直ることは出来ないはずだ。
「……いいのです。決めたことですから。」
筆を持つ指に力を込めて、何事もないかのように筆を動かす。
「なら、いいのですが。」
「それを言うのなら、桂様もそうではありませんか?月からフラれた上に、あのような裏切り合うとは…、それこそ今回の計画から外れた方がいいのでは?」
「ええ、そうですね。だから私は手伝いをさせていただいているのです。その方が気紛れていい。」
どっちにしろ、互いに同じ立場だということだ。
桂の方は割り切れた分だけ良かったかもしれない。
桂と蛍は引き続き作業を進めた。