もう猫になんか生まれない
どうしよう、と真っ青なクイの頭を、臨はぽんぽんと撫でた。
……前を通ったママさんが気持ち悪そうに子供の手を引いたが、無視の方向で。
「ちょっと待ってろ、自販機探してくる」
「うん……」
動くなよ、知らないおじさんについてっちゃ駄目だぞ、と言いおいて、臨は人混みの再突破を始めた。
「一年か……」
呟いたクイの声は、一段と暗い。
「――あと一年ぞ」
頭上からの返事は、うってかわって嬉々としていた。