もう猫になんか生まれない



「おい、かまぼこ一個よこせ」



「絶対やだ!白和えみんなあげたからもういいじゃん!」



「駄目。かまぼこは母の形見」



「俺にとっちゃ家宝なのっ。臨俺のとりすぎ!」






かまぼこの所有権に関しての冒頭陳述を終えた時。



「お、桜かまぼこ」



「え?」



どこかから吹かれてきた桜の花びらが、ちょうど白いかまぼこの上に乗った。



「ほんとだ……ちょっ、とらないでよっ!」



「はいお裾分け」



花びらをクイの頭に移してやると、クイはそおっと手をやって、それをつまんだ。



< 17 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop