もう猫になんか生まれない






「あっ、よし取った!」



見て、とクイが駆けて来て、手をそっと開いた。



可憐な花びらが一枚、その真ん中に乗っていた。



「あげる。今日のおみやげ」



「……ありがと」



にこにこ笑いながら、クイは臨の袖を引いた。



「臨、写真撮ろう。あそこの木が良い」



「男二人で自撮りかよ」



「撮ろうよー」



「……」



何だかんだと、自分はクイに弱いと思う。



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