もう猫になんか生まれない
「俺今日三時頃には帰れるから」
「分かったー」
靴を履き、ドアを開けて、外に出て、ドアを閉める。
こんな一瞬の作業が何故か嬉しい。
ドアが閉まるまで、いつもクイは手を振って見送ってくれる。
満たされている、と思う。
今日も、帰ればお帰り、と言ってくれるのだろう。
「……」
講義の合間にちらちら伺っていたが、昼頃から落ち始めた雨は止んでいなかった。
だからこの季節は嫌いだ。
雨は、子供の時から大嫌いだ。
(傘買わなきゃな)
階段教室の一階から、臨は廊下に出た。