もう猫になんか生まれない


『ねえ、臨だよね?』


すがるように問われて、思わず頷いてしまった。


『…っ』


『え、ちょっ』


何で泣くの。

尋ねる前に、飛びつかれた。


『臨だっ!ほんとに臨だぁ…!』


『え、なん、ちょっと!』


会いたかった、と、少年は泣きながら繰り返した。


『ね、俺だよ。クイだよっ!』


『えっと…』


あなた、誰ですか。

臨の質問に、クイという少年は体を離して困ったように笑った。


< 4 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop