もう猫になんか生まれない
「やった!じゃあお弁当いっぱい作らなきゃ」
ぶんぶん動く尻尾がよく似合いそうな笑顔に、臨も、これで良かったんだろうと思う。
だが。
「男二人で花見か……」
土曜日。
にこにこしながらお重(どこで手に入れたんだ)に料理を詰め込むクイ。
「よし、できたぁ!」
そりゃクイは綺麗だし可愛いけれど、れっきとしたオトコノコな訳で。
「かっぷる……?」
思わず浮かんだ単語は、けっこう冗談に聞こえない。
「できたよ。臨いっぱい食べるから多めにしといたよ」
……とは言え、今さら行かないと言いだすなんてサイテーだし。
「臨早くー」
玄関で靴紐相手に格闘するクイが、臨を急かす。