[中] 0o 面影 o0
映画館に行く前に駅ビルをのぞいた。
「斗真斗真!! これ可愛いくない?」
「どれ?」
沙希が指差したのは銀色のピアス。
「沙希、穴開いてたっけ?」
「うん、実はあいてるだよ♪」
沙希の耳は髪で隠れてるから知らなかった。
「へ~。」
「誰かさんみたいに片耳とか中途半端じゃないしね!」
「...うるせ~(笑) 映画に遅れるぞ、不良女子高生。」
「じゃあ行きますか、中途半端な不良くん♪」
「....///」
バカ...
胸がきゅんと苦しくなって
気付けば
沙希の右手をとっていた。
沙希はちょっと驚いたように俺を見て、それからいつもの顔して笑った。
ずっとこのままだったらいいのに。
ずっと沙希のそばにいれたらいいのに。
沙希...。