[中] 0o 面影 o0

─…
待ち合わせ場所だった駅に帰る頃には、あんなに高かった太陽も、向こうの山に沈もうとしていた。

沙希を家の近くまでおくるため、人気のない薄暗い道を2人で歩く。

「あ、もう家すぐそこだから。今日はありがとねっ! 楽しかったよ!!」

「俺も。...ほらよ。」

ぶっきらぼうに沙希に小さな包みを渡す。

「...へ? 何これ??」
「あけてみろよ。」

不思議そうに包みをあける沙希。
「えっ、これ...! なんで...。」

そう、お前が可愛いつったピアス。
今日、お前が唯一欲しがったもの。
そのまま帰ってこれるわけねぇだろ。
沙希が買い物に夢中になっていた時こっそり買っておいたものだ。

「ありがとう!! 斗真!!! めっちゃ嬉しいよ~!!」


やっぱ...我慢できねぇよ。

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