裏切りの恋
帰りの電車でも、家に帰ってからも、
苦にならないくらいの数通のメール。
寝る前にはちょこっとだけ電話して、「おやすみ」と言って切る。
あたしは小さい豆電球だけつけて、ベッドの上にコロンと横になった。
片手を上にあげると、左手の薬指に、小さく光る指輪。
それは決して大きくない小ぶりのダイヤだったけど、当時学生だった明からしてみれば、相当高価な指輪だったはずだ。
あたしはその指輪を見るたびに、なんとも言えない愛しい気持ちになって、ちゅっと口づけると、もう一度心の中で明に「おやすみ」と言い、眠りについた。
あたしは幸せ者だ…。
そう心に思いながら……。