裏切りの恋
「夕菜先輩、辞めちゃうって本当ですか?」
仕事を挟んで休憩中、もうお店にはあたしが辞めるということが広まったらしく、エミちゃんが泣きそうな顔であたしに尋ねてきた。
「うん…。ちょっと卒論がね」
「夕菜先輩がいなくなっちゃったらさみしいですー!」
「ありがとう。
でもまだ1か月近くあるから。今月のシフトはちゃんと出るからさ」
「はい……。でも…」
「お仕事以外でも遊ぼうね」
「はいっ」
今からすでに泣きそうなエミちゃんを見て、本当にいい後輩をもったなと思った。
あとから、先輩たちもあたしの元に来て、さみしがってくれていた。
本当はあたしも辞めたくなかった。
卒業して、就職するギリギリまで、この店で働きたかった。
だけど……
もうこれ以上は、彼の傍にいられない……。