裏切りの恋
「お先失礼しまーす」
今日の仕事も終わらせ、あたしは足早に控室を出た。
あたしが辞めるということも、まだ1か月近く先のことなので、みんなもまだいつものように「お疲れ」と言って挨拶を交わした程度だった。
駅までの道を歩いていると…
「おい」
また、いつかのときのように後ろから腕をつかまれた。
「城崎さん……」
「話がある」
そう言って、ぐいとあたしの腕を引っ張る。
きっといつもの車だ。
だけどあたしは……
「あたしはないですっ…」
そう言って、手をはねのけた。